ここでは親が認知症になった場合におこるトラブルを詳しく紹介します。
・親が認知症になった場合のトラブル その2
認知症になると、親の財産をめぐって相続人同士の争いが避けられないことがあります。認知症発症前に行った相続対策の有効性が疑われると、相続人間で意見の対立が生じやすくなります。例えば、特定の相続人に対して多くの財産が割り当てられている場合など、他の相続人から不公平だと感じられたり、認知症になる前の判断能力が不十分であったのではないかと疑念が生じたりすることがあります。
このような状況では、相続人間での話し合いが円滑に進まないことが多く、最終的には法的紛争に発展する可能性が高まります。特に、親の意思を正確に反映した遺言書がない場合や、遺言書があってもその内容に対する不満や異議がある場合、相続人同士での争いは深刻化します。法的紛争に発展すると、長期間にわたる裁判や調停、それにかかる弁護士費用なども必要となり、その間に相続財産の管理や運用が滞ることも避けられません。
また、認知症になった親が所有する財産の種類や範囲が不明確な場合、相続人間での情報共有が不十分となり、さらに対立が深まることもあります。このような事態を未然に防ぐためには、認知症になる前にしっかりとした相続対策を講じることが重要です。例えば、相続の法的知識のある弁護士による遺言書の作成や、信託や生前贈与などの方法を活用し、親の意思を明確に示すことが、相続人間の争いを避けるための有効な手段となります。