死後事務委任契約における「様々な役所での手続き」とは、本人が亡くなった後に必要となる各種行政手続きを、委任された者が代行して行うことを指します。人が亡くなると、住民票の除票手続きや、戸籍の届出、年金の停止手続き、健康保険の資格喪失手続きなど、役所で行わなければならない事務が数多く発生します。これらは法的に義務付けられているものも多く、速やかに進めないと遺族に不利益が生じることもあります。
たとえば、死亡届は原則として死亡から7日以内に提出しなければならず、これが遅れると火葬許可証の発行も遅れ、葬儀に支障が出る可能性もあります。また、年金の受給者が亡くなった場合には、速やかに年金事務所に届け出て受給停止の手続きをしなければ、後に過払い分の返還を求められることもあります。さらに、介護保険や国民健康保険の資格喪失手続き、未払い保険料や税金の精算など、さまざまな対応が求められます。
これらの手続きを遺族が全て担うのは大きな負担となるため、死後事務委任契約によってあらかじめ信頼できる第三者に任せておくことで、本人の希望通り、かつ円滑に事務処理が進められるのです。