・親が認知症になった場合のトラブル その4
認知症になると、相続税対策が大きく制限され、今まで行っていた節税策が取れなくなるという問題も重要です。相続税の対策には、財産の生前贈与や不動産の活用など、事前に計画的に行うことが求められますが、認知症によって判断能力が低下すると、これらの手続きを適切に進めることが難しくなります。例えば、財産の一部を家族に贈与することで相続税を軽減する措置も、認知症の発症後には本人の意思確認ができないため、実行が困難となるケースが多いのです。
また、認知症により成年後見制度が適用された場合、後見人が資産を保護する立場にあるため、リスクのある資産運用や節税対策が制限されることになります。これにより、相続税の負担が軽減されないまま、高額な相続税が発生するリスクが高まることがあります。特に、不動産の売却や贈与を通じた節税が行えなくなると、相続税が予想以上に膨らむ場合があり、残された家族が経済的に大きな負担を背負う可能性もあります。
したがって、認知症になる前にしっかりと相続税対策を講じることが、将来の財産管理において非常に重要であることがわかります。事前に信頼できる弁護士のような専門家と相談し、適切な節税対策を行うことが、家族にとっても大きな安心となるでしょう。