終活を行う最大のメリットは、自分の意思を明確にし、それをきちんと反映できることにあります。たとえば、自分の財産をどのように相続させたいか、葬儀の形式や場所についての希望、延命治療を受けるかどうかなど、人生の終末期に関する重要な意思決定を元気なうちに整理しておくことができます。何の準備もせずに最期を迎えてしまうと、家族が判断に迷ったり、対応をめぐって意見が対立する可能性がありますが、終活を通じて自分の意向をあらかじめ伝えておけば、そうした混乱を避けることができます。
また、終活は残される家族の負担を軽くするという意味でも大きな意義があります。葬儀や財産の整理、相続の手続きなどは、遺された家族にとっては精神的にも実務的にも大きな重荷です。しかし、終活によってそれらを事前に準備しておけば、家族が戸惑うことなく、スムーズに必要な対応ができるようになります。特に遺言書を作成しておくことで、相続をめぐるトラブルを未然に防ぎ、家族が安心して遺産分割を進めることが可能になります。
さらに終活には、これからの人生を見つめ直し、より充実した日々を送るきっかけにもなります。死という現実を意識することで、残された時間をどう使いたいか、何を大切に生きたいかといった人生の本質に向き合うことができます。やり残したことを実現するために行動を起こしたり、人間関係を整理して大切な人と過ごす時間を増やしたりすることもできるでしょう。そうすることで、漠然とした将来への不安が軽減され、「自分の最期はこうありたい」という明確なビジョンを持つことができ、安心して日々を過ごせるようになります。
最近では、エンディングノートを活用する人も増えています。これは自分の希望や大切な情報を一冊にまとめておくもので、遺された家族にとっても極めて有用です。たとえば、銀行口座や保険の情報、重要な連絡先、葬儀や供養に関する意向などを記しておけば、家族は迷うことなく対応できます。
このように、終活は自分自身にとっても、家族にとっても多くのメリットがあります。人生の締めくくりに向けて準備をすることで、残りの時間をより豊かに過ごすことができるのです。