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高齢者の財産を守る生前対策その1「遺言書の作成」

遺言書の作成とは、高齢者が自らの死後に残る財産や権利関係について、誰にどのように承継させるかを明確に定めておくための重要な生前対策の一つです。遺言書が存在することで、相続人同士の間で意見が食い違い、深刻な紛争に発展してしまう事態を未然に防ぐことが可能となります。特に日本の相続制度では、法定相続分が定められているため、遺言がない場合には法律に基づいて画一的に財産が分配されることになります。しかし、被相続人にとっては特定の子どもに多くを譲りたい、あるいは生前に介護や支援を尽くしてくれた相続人に相応の評価を与えたいなど、法律だけでは反映しきれない希望を持つことも少なくありません。遺言書はそのような本人の意思を具体的に示すことで、財産分配を希望通りに実現させる手段として大きな役割を果たします。

 

また、遺言書は相続人に限らず、法律上の相続権を持たない人物や団体への財産の承継を可能にする点でも有効です。例えば、内縁関係にある配偶者や長年世話をしてくれた友人、慈善団体や公益法人などに財産を遺すことも遺言書によって実現できます。これにより、生前に築いた人間関係や価値観を死後も形として残すことができ、本人の意思をより尊重した財産の移転が行われます。さらに、遺言書の内容によっては、遺産分割協議そのものを不要にすることができるため、相続手続きの簡素化や迅速化にもつながります。

 

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言といった形式がありますが、いずれも法律が定める方式を守らなければ効力を発揮しません。特に自筆証書遺言の場合、記載内容や形式に不備があると無効となる可能性があるため、弁護士などの専門家に相談しながら作成することが推奨されます。近年では法務局での自筆証書遺言の保管制度も整備され、より確実に本人の意思を残せる仕組みが整えられています。一方、公正証書遺言は公証人が関与して作成するため、形式的な不備が生じにくく、相続発生後に内容をめぐる争いを避けやすいという利点があります。

 

遺言書を残すことは単に財産の分け方を決めるだけではなく、残された家族の生活を守り、無用な争いを避けるという社会的意義も含まれます。例えば、残された配偶者の生活保障を重視して遺産の大部分を配偶者に残すことや、未成年の子どもの将来を見据えて後見人を指定することなども遺言書によって可能です。こうした措置は、家族が安心して相続後の生活を送るための基盤となります。

 

つまり、遺言書の作成は高齢者にとって財産を守るための有効な生前対策であり、本人の意思を尊重しつつ相続人間の紛争を未然に防ぎ、残された家族が円滑に新たな生活を営むための重要な役割を担っています。

カテゴリ:お知らせ

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