死後事務委任契約の内容のひとつである「税金や借金などの清算」とは、故人が亡くなった後に発生する各種の金銭的な義務を整理し、適切に処理する手続きを指します。人が亡くなると、その人に課されていた住民税や固定資産税、あるいは未納の所得税などの税金の支払いが必要になります。また、借金やローン、クレジットカードの未払い残高、医療費の自己負担分など、故人が生前に負っていた債務も相続の対象となります。死後事務委任契約を結んでおけば、これらの金銭的な負担について、委任された受任者が代わって清算手続きを行うことが可能になります。
これにより、相続人が突然、支払いの督促を受けて戸惑うことや、債務の有無を把握できずにトラブルになるといった事態を回避できます。ただし、受任者が債務を肩代わりするわけではなく、あくまで清算業務を代行するにとどまります。実際の支払いは、故人の財産の範囲内で行われ、必要に応じて相続人と連携をとることもあります。このように、死後の金銭的な義務を整理することは、遺された家族の負担を軽減し、スムーズな相続手続きにつなげるためにも重要な役割を果たします。