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高齢者の財産を守る生前対策その3「任意後見制度」

任意後見制度とは、高齢者や将来判断能力が低下する可能性がある人が、自分の意思をしっかりと伝えられるうちに、信頼できる人をあらかじめ後見人として選び、将来に備えて生活や財産の管理を託すための仕組みです。人は年齢を重ねると、認知症や病気などにより判断能力が不十分になることがあります。そのような状態になると、預貯金の管理や不動産の処分、介護施設への入居手続きなど、日常生活に欠かせない契約や財産管理が自分では難しくなります。任意後見制度を利用しておけば、本人の判断力が十分にある時点で後見人を指定し、公正証書による契約を交わしておくことで、将来判断力が低下した際に、その契約に基づいて後見人が必要な手続きを代わりに行えるようになります。

 

この制度の特徴は、本人が自ら選んだ信頼できる人物を後見人として指定できる点にあります。後見人は親族に限らず、弁護士や司法書士などの専門家を選ぶことも可能で、財産管理や介護サービスの契約、医療機関との調整など、契約内容で定めた範囲の業務を行います。例えば、銀行口座の入出金管理、公共料金の支払い、不動産の売却や賃貸契約、施設入居時の契約などが代表的な役割です。また、本人が望む生活スタイルや介護方針を契約書に具体的に盛り込むことができるため、将来本人が意思を伝えられなくなった場合でも、自分らしい暮らしを尊重してもらえる可能性が高まります。

 

任意後見契約は、公証役場で公正証書として作成することが法律で義務付けられており、これにより契約の内容や効力が確実に保護されます。契約後、本人が実際に判断能力を失ったときには、家庭裁判所に申し立てを行い、任意後見監督人が選任されることで契約が正式に効力を持ちます。監督人が後見人の活動をチェックするため、後見人による不正行為を防ぐ仕組みも整えられています。

 

この制度を利用することで、財産の不正利用や詐欺から本人を守りつつ、介護や医療に関する希望を確実に反映させることができます。一方で、契約の範囲や内容をきちんと決めておかないと、後見人が対応できる業務が限定される可能性もあるため、契約時には将来必要となり得る手続きを十分に想定しておくことが重要です。任意後見制度は、元気なうちに自分の意思で老後を設計し、財産と生活を守るための有効な生前対策であり、安心して暮らし続けるための大きな支えとなる制度といえます。

カテゴリ : お知らせ

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