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高齢者の財産を守る生前対策その5「家族信託という方法」

家族信託とは、高齢者が自らの財産を信頼できる家族に託し、その家族が管理・運用・処分などを行う制度のことをいいます。正式には「民事信託」と呼ばれるもので、信託契約によって財産を託す人(委託者)、財産を預かって管理する人(受託者)、そしてその利益を受ける人(受益者)の三者の関係で成り立ちます。近年では、判断能力の低下や認知症の発症などによって自分の財産を適切に管理できなくなることを見据えた「生前対策」として、この家族信託を利用する高齢者が増えています。

 

家族信託の大きな特徴は、信頼できる家族に財産の管理権限を委ねることで、柔軟で実情に即した財産管理を行える点にあります。例えば、高齢者が所有する不動産を受託者である子どもが管理し、賃貸契約や修繕などを行うことで、安定的に収益を得ながら資産を守ることができます。また、信託財産は受託者の固有財産とは区別されるため、万が一受託者が借金を抱えたり破産したりしても、信託された財産が差し押さえられることはありません。こうした点からも、家族信託は資産を安全に承継していくための有効な仕組みといえます。

 

さらに、家族信託は成年後見制度と比べても柔軟性が高く、委託者の希望に沿った財産の運用や処分を可能にします。成年後見制度では、後見人の行動が家庭裁判所の監督下に置かれるため、一定の制約が伴いますが、家族信託では契約内容に基づいて受託者が自主的に対応できるため、迅速かつ現実的な対応ができます。たとえば、委託者が判断能力を失っても、信託契約で定めた方針に従って受託者が資産を管理・処分できるため、財産凍結のリスクを回避できるのです。

 

また、家族信託は相続対策としても効果を発揮します。信託契約の中で「次に誰に財産を承継させるか」をあらかじめ定めておくことができるため、複雑な相続争いを防ぐことができます。たとえば、配偶者が亡くなった後は子どもへ、さらに孫へと段階的に財産を引き継ぐ「二次相続」の指定も可能であり、将来的な資産承継の計画を明確にしておくことができます。

 

このように、家族信託は単なる財産管理の手段ではなく、将来にわたって本人や家族の生活を安定させるための包括的な仕組みといえます。ただし、契約内容の設計には法的な知識と慎重な判断が求められるため、実際に活用する際には弁護士などの専門家に相談し、最適な形で信託契約を構築することが大切です。信頼関係を基礎としながら、柔軟で安全な資産管理を実現するのが家族信託の最大の魅力です。

カテゴリ : お知らせ

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