死後事務委任契約の内容のひとつである「残されたペットの再譲渡」とは、飼い主が亡くなった後に取り残されたペットを適切な新しい飼い主に引き渡す手続きのことを指します。ペットは家族同然の存在でありながら、日本の法律上では「物」として扱われるため、飼い主の死亡後に誰が世話をするか明確でない場合、保健所に引き取られたり、最悪の場合は殺処分されるリスクもあります。そうした事態を防ぐために、あらかじめ死後事務委任契約でペットの今後についても取り決めておくことが重要です。
契約では、亡くなった後にペットをどこに預けるのか、誰に譲渡するのかを明記し、その引き渡しの実務を委任者の代理人である受任者が行います。譲渡先は信頼できる親族や友人、あるいは動物保護団体などが想定されます。また、譲渡とあわせて、ペットの飼育費や医療費をまかなうための費用を遺しておくことも望まれます。こうした準備を生前に整えておくことで、ペットが安心して暮らし続けられる環境を確保することができ、飼い主の死後に不安や混乱を残すことなく、愛する動物の生活を守ることにつながります。