死後事務委任契約における「住居の解約や清算」とは、契約者が亡くなった後に、その人が住んでいた住居に関する諸手続きを代行することを指します。賃貸住宅に住んでいた場合、まずは家主や管理会社に死亡の報告を行い、賃貸借契約の解約手続きを進めます。通常、契約者本人が亡くなった場合でも賃貸契約は自動的には終了せず、相続人や関係者が解約を申し出る必要があります。その際、未払いの家賃や敷金の精算、原状回復の費用負担などが発生する場合がありますが、死後事務委任契約に基づき、受任者がこれらの対応を行います。
また、持ち家の場合は、光熱費や固定資産税の精算、住宅ローンが残っている場合の金融機関との交渉などが必要になります。亡くなった方の銀行口座は凍結されるため、口座引き落としができなくなり、料金の未払いが発生することもあります。受任者は、これらの未払い分を整理し、必要に応じて相続人と連携しながら支払いを進める役割を担います。
住居の解約後は、部屋の片付けや遺品整理を行い、不要な家具や家電の処分を手配する必要があります。賃貸物件の場合は、部屋を明け渡す前に清掃を行い、管理会社の確認を受けたうえで正式に契約を終了させます。特に高齢者の単身世帯では、遺族が遠方に住んでいることも多く、すぐに対応できないケースもありますが、死後事務委任契約を活用することで、スムーズに住居の解約や清算を進めることができます。