親族が成年後見人になるメリットの一つは、家族や親族に任せることで、第三者に対して健康状況や財産状況、家族関係の事情などのプライバシーを開示しなくて済むことです。成年後見人には、財産管理と身上保護という重要な職務が求められますが、そのためには被後見人の健康状況や財産状況を詳細に把握し、適切な判断を行う必要があります。これを実現するためには、情報の開示が避けられないのです。
弁護士や司法書士といった専門家は、守秘義務を負っているため、開示された情報を第三者に漏らすことはありません。しかし、それでも自分や家族のプライバシーに関する情報を全く知らない第三者に開示することに抵抗を感じる人も多いでしょう。特に、財産状況や健康状態などのデリケートな情報については、慎重に取り扱われるべきであり、家族以外の人に知られたくないという思いが強いことも理解できます。
この点で、親族が成年後見人になることは大きなメリットをもたらします。家族や親族に後見人を任せることで、全くの第三者にプライバシーを開示する必要がなくなり、安心感が得られるのです。家族や親族は、被後見人の生活や健康状態を日頃からよく知っているため、情報の開示に対する抵抗感も少なく、スムーズに支援を行うことができます。
さらに、家族や親族が成年後見人になることで、被後見人に対する理解や愛情が支援に反映されるという利点もあります。家族の一員として、被後見人の意思や希望を尊重しながら財産管理や身上保護を行うことができ、より個別的で適切な支援が期待できるのです。
もちろん、親族が成年後見人になる場合にも、家庭裁判所への定期報告や財産目録の作成などの義務はありますが、プライバシーの保護という観点からは非常に有利です。親族内での信頼関係を基盤とした支援が可能であり、被後見人が安心して生活を続けられる環境を整えることができます。